片桐家は、榊原藩政以前から武家の家来を継ぐ三百年の歴史ある旧家です。
いつ頃呉服店を始められたのかははっきり分かりませんが、明治36年発行の「高田商人勉強取組表」に前頭として片桐呉服店が記載されていますので、それよりかなり早い時期の創業と考えられます。
呉服を中心に衣料品全般に多くの商品を扱われていましたが、時代に合わせて、角巻、トンビ、マント、ママコートなど防寒着の品揃えに重点を置いて、ご商売をされていた時期があったそうです。
店内には当時宣伝用に使われた「流行・新形 外套女コート販賣」と書かれた看板が残っています。
絵看板にも、各巻を羽織った女性とトンビを着た男性が向き合っている姿が描かれています。
畳敷きのコーナーには、桐箪笥が並び、座売りされていた当時の賑わいの風景が偲ばれます。