アリサカ理容室は江戸時代は脇本陣として上級武士をもてなす大切な宿でした。ところが、明治に入って材木屋、大正時代は銭湯、昭和に入って理容業と、時代の移り変わりに合わせて業態を変えて店を守り、家督を繋いでこられました。
アリサカ理容室の看板は大変ユニークな看板です。この看板の絵は「うつぼのおばけ」です。「うつぼ」は矢を入れて腰につける太い筒状の容器です。看板には「うつぼ」を顔と頭の部分で表現し、弓矢をかついで片手には手拭をひょいと肩にかけて持ち、ひょうきんな顔をして走っています。なんとも不思議な絵です。
お江戸の頃の絵看板には、とんちの効いたもの、謎解きのような面白い看板もありました。これは正に「とんち物の絵看板」の一つです。江戸時代、銭湯の入り口には弓矢が立て掛けてあったり、弓矢をデザインしたシンプルな看板を付けていました。“弓矢”が“湯屋”を表していることを町衆はみんな知っていました。
看板製作者の鈴木さんは、これを見事にアレンジしインパクトのある絵看板に仕上げてくれました。
アリサカ理容室のお宝はかなり古いと思われる黒光りした恵比須・大黒様の置物です。一斗枡の中に鎮座しておられます。風格のある古い枡にも、何かいわれがありそうです。